オール電化住宅・都市ガス・プロパンガスの比較は？メリットやデメリットも紹介

オール電化住宅とは何かと、その特徴（都市ガス・プロパンガスとの基本的な違い）

オール電化住宅とは、家庭で必要なエネルギーをすべて“電気”でまかなう住宅を指します。通常、給湯や調理には都市ガスやプロパンガスを利用することが多いですが、オール電化住宅ではこれらを使用せず、エコキュートやIHクッキングヒーター、電気床暖房などの電気設備で代替します 。

主な設備として挙げられるのが、エコキュートです。これはヒートポンプ技術を用いて空気の熱から効率よくお湯を沸かし、貯湯タンクに蓄える給湯器です。ガス給湯機と比較して消費エネルギーを約1/3に削減できる場合もあり、深夜電力を利用することでさらにコストを抑えられます 。

IHクッキングヒーターは、鍋自体を発熱させる電磁誘導方式により加熱する調理器具で、火を使わないため安全性に優れ、高い熱効率を持ち、ガスコンロとほぼ同等の火力を発揮します。また、お手入れが簡単で、キッチンを清潔に保ちやすい点も魅力です 。

都市ガスやプロパンガスの一般的な使われ方としては、給湯や調理に利用されてきましたが、それらと比べてオール電化住宅はエネルギー源を一本化し、光熱費管理の簡便さや安全性の向上が期待できます 。

以下は、オール電化住宅と都市・プロパンガス住宅の主な違いをまとめた表です。

オール電化住宅のメリット（光熱費・安全性・災害対応など）

オール電化住宅は、最新のエネルギー効率や安全性、防災対応という点において優れた特徴があります。以下にその主なメリットを整理してご紹介します。

まず光熱費面では、オール電化住宅ではガスの基本料金が不要になることに加え、夜間電力プランによってエコキュートのような蓄熱設備が効率よく運用できます。その結果、都市ガス併用住宅と比べて年間約18,000円、プロパンガス併用住宅と比べて年間約100,000円程度安くなるケースが報告されています（関東圏・3人家族の想定）。

また、1kWhあたりのエネルギーコストで比較した場合、オール電化の夜間電力は非常に安価である一方、都市ガスは日中こそ安いものの、全体ではオール電化の方が光熱費の管理が簡単でメリットが大きいことがあります。

安全面では、IHクッキングヒーターの使用によって火を使わず調理ができるため、火災や一酸化炭素中毒のリスクが大幅に低減します。火を使わないため家事によるキッチンの汚れも少なく、清掃もしやすい点も嬉しいメリットです。

さらに災害時においては、エコキュートなどの給湯タンクに常時備蓄されたお湯（370L～460L程度）が、断水時の生活用水（洗濯やトイレなど）として活用できることも大きな強みです。加えて、電気の復旧はガス設備よりも早い傾向にあり、東日本大震災の際には電気で80%の家庭が3日以内に復旧しており、ガスは復旧により時間を要したという実績があります。

オール電化住宅のデメリット（導入コスト・停電・昼間電気代・設置条件など）

以下の表は、オール電化住宅における代表的なデメリットを3項目にまとめたものです。

以下に、各項目の詳細を分かりやすく解説します。

（1）導入コストの高さについて

オール電化住宅への切り替えには、エコキュート、IHクッキングヒーター、床暖房などの導入費用が必要です。エコキュートの場合、本体だけでなく基礎工事や配管・電気工事も含めて20万円〜150万円程度、床暖房（12畳程度）になると70万〜120万円程度かかるケースもあります（※1）。こうした初期費用は、長期的に光熱費の削減で回収できる可能性はありますが、導入当初の負担は大きい点に注意が必要です。

（2）停電時のリスクとその対策について

オール電化住宅では、停電が発生すると給湯、調理、暖房などすべての設備が停止してしまいます（※2）。対策として、非常用のカセットコンロや石油ストーブの準備、太陽光発電の自立運転機能や蓄電池の併用などを検討することが安心です。これらを備えておくことで、停電時の暮らしの安心感を高めることが可能です。

（3）昼間の電気料金の高さとライフスタイルとの相性について

多くのオール電化向けプランでは、深夜の電気料金が安く設定されていますが、日中は割高に設定されているため、昼間に家で過ごす時間が長い世帯では電気料金が高くなりがちです（※3）。例えば、在宅ワークが多かったり、ご家庭にご高齢者やお子様が多い場合、日中の電力消費が増えることで光熱費が予想以上に膨らむおそれがあります。料金プランがライフスタイルに合っているか、定期的に見直すことが重要です。

以上のように、オール電化住宅のデメリットとしては、高額な初期費用、停電時の全電力依存リスク、そしてライフスタイルによっては昼間の電気代が高くなる可能性が挙げられます。これらを踏まえて、導入を検討される際には、設置後の光熱費や防災対策を含めた全体的な収支や暮らしやすさをしっかりと評価することが大切です。

どんな生活スタイルの方にオール電化住宅が向いているか（比較視点から）

オール電化住宅が特に向いているのは、ご家庭の電気使用が夜間に集中しやすい方です。深夜電力が割安なプランを活用し、エコキュートなどによる給湯やタイマー付き家電の稼働を夜間に切り替えることで、光熱費を効率的に抑えることができます。たとえば共働き世帯や学生のいる家庭では、日中は不在で夜間の電力使用が多くなる傾向にあり、この点がオール電化のメリットを最大化します。

また、災害への備えや安全性を重視される方にもオール電化は適しています。エコキュートのタンクに蓄えた水を生活用水として利用できる点、そして東日本大震災などで示されたように電力はガスよりも速やかに復旧しやすいという特徴が、防災面での安心感を高めます。

反対に、日中在宅時間が長く、家族構成によっては昼間の電気使用が多くなるライフスタイルの場合は注意が必要です。このようなご家庭では、都市ガスやプロパンガスとの併用のほうが、光熱費全体の面で有利となることがあります。特に在宅ワークや子育てなどで日中のエネルギー使用が増える傾向にある場合は、オール電化住宅のメリットが薄れる可能性があります。

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まとめ

オール電化住宅は光熱費を抑えたい方や火を使わない安全性を重視する方にとって魅力的な選択肢です。都市ガスやプロパンガスに比べて防災面でも優れ、特に災害時の安心感が強みです。一方で、導入コストや停電時のリスク、昼間の電気料金の高さなど注意点もあります。自分や家族のライフスタイルと照らし合わせ、どのエネルギー源が最適かしっかり比較することが納得の住まい選びにつながります。気になる点はぜひお気軽にご相談ください。